墓じまい解説【3】既存のお墓の手続き~遺骨の移動・納骨
既存のお墓の手続きと遺骨の移動
先述では、遺骨の行き先を決める流れを説明しました。
- 遺骨をどうするのか決める
- 既存のお墓の手続きをする
- 新しいお墓へ納骨する
次は 2.既存のお墓の手続きと、3.新しいお墓へ納骨する です。
2.既存のお墓の手続き
改葬許可申請書を手に入れる
既存のお墓のある役所から、改葬許可申請書を手に入れます。
新しいお墓ではなく、既存のお墓がある役所から取り寄せなくてはいけないです。
理由は、役所によって書類の形式が違うから。
役所によっては、書類のフォーマットをインターネット上からダウンロードできる場合もあるので役所のホームページを確認してみるといいかもしれません。
既存のお墓に書類を依頼する
既存のお墓に依頼することは下記2点です。
- 埋蔵証明書の発行依頼
- 改葬許可申請書に署名捺印をもらう
墓じまいをする場合、引越し前のお墓の管理者に、埋蔵証明書(納骨堂の場合は収蔵証明書などともいう)を発行してもらう必要があります。
これは「はい確かに故・誰々さんの遺骨はここにありますよ」という証明書です。
改葬許可申請にはこちらの証明書が必要になります。
また、先述した改葬許可申請書に署名捺印をしてもらいます。
墓じまいはこういった既存墓地の管理者にも依頼する必要があるので、
お墓を移るからといって関係を蔑ろにするのは避けたほうがいいです。
民間の霊園などは特に問題なくさらっと済ませられることが多いですが、
寺院にお墓がある人は結構悩まれていました。
ご住職に墓じまいの話をするのは気が引けるのもわかります。
親身になって話を聞いてくれるかたもたくさんいるのですが、お墓を離れる際に高額な離壇料を請求されたなんて話も聞きますね。
それは各々お寺によって違うので、日ごろのご関係性なども踏まえ墓じまいを実行される前に相談という形で話しておくのが筋かと思います。
行政書士がお墓の離壇交渉をおこなってくれるところもあるので、もしこじれてしまうようなことがあれば依頼するのもひとつの方法です。
役所に書類の依頼をする
既存のお墓がある役所へ書類を提出し、証明書を発行してもらいます。
提出する書類は役所によって異なりますので、必ず確認してください。
おおくは下記の提出が必須になります。
- 埋蔵証明書(遺骨ここに眠ってますよー の証明)
- 墓地使用許可証(ここの墓地使っていいですよー の証明)
- 改葬許可申請書(遺骨移動するのを認めてくださいよー の申請書)
これらを提出すると、改葬許可証を発行してもらえます。
この改葬許可証は、遺骨の移動先の墓所に納骨する際に使用するので大事にとっておいてください。
3.新しいお墓へ納骨する
既存のお墓から遺骨を取り出す
次は 新しい遺骨の行き場所へ納骨する流れです。
まずは既存のお墓から遺骨を取り出す必要がありますので、どちらで依頼すればいいか墓地管理者へお尋ねください。
一般的に遺骨の取り出し作業は既存の墓地に出入りできる石材店がお手伝いする事が多いです。
遺骨の取り出し作業の際に閉眼供養(魂抜き)の儀式をおこなう場合は、お付き合いの住職に墓前で供養してもらいます。その際はお布施をお渡しします。
お付き合いしているお寺がない場合は、霊園側が紹介してくれる場合もありますのでお問い合わせください。紹介してもらえる場合はお布施の金額が決まっていることが多いです。
また無宗教だったり気にされない方はこれらの儀式を省略することもあります。
取り出した遺骨を一定期間保管する
取り出した遺骨を新しい納骨先に納骨するまで日にちがあく場合は、
自宅などに安置しておきます。(場合によっては納骨先の墓所で一時安置させてもらえる場合もあります。)
遺骨を自宅に置くことは法律違反なのでは?とご心配の方もたまにいますが、
自宅の仏壇や棚に骨壺ごと安置することは、法律では問題ありません。
ただし、遺骨を庭に埋めたりすると違反です。
火葬した遺骨は墓地に埋めること。墓地以外のところに埋めたら処罰しますよー。
という法律があるからです。
(立法前から存在する一部の所有地の墓は認められています)
遺骨の移動方法について
遺骨の移動は、骨壺を風呂敷などで丁寧に包んで車で移動することが多いですが、
電車等で移動しても法的に特に問題ないことです。
骨壺が重いので配送したい!という場合は、日本郵便が取り扱い可能です。
多くの宅配業者は遺骨の配送をNGとしていますが、
ただし、破損や紛失の補償対象外となっていますので、万一の場合を考えると、
大事に包んでご自身で移動するのが間違いないかと思います。
新しい納骨先へ納骨する
新しい納骨先へ納骨します。
納骨の際に必要な書類が、新しいお墓契約時にもらった墓地使用許可証と、
役所でもらった改葬許可証です。
他にも必要な場合があるので、必ず新しいお墓の管理者にお聞きください。
また、閉眼供養のときと同様、納骨の際に開眼式などの儀式をする場合は、お布施を納める必要がありますので、別途費用がかかります。