生前に「実家の墓に入れてくれ」と言っていても入れないことは多々ありますというお話。
生前に、「実家のお墓に入れてくれ」と言っていても、
入れないことは多々ありますというお話。
「俺も腹水が溜まってきて、もうまもなくお迎えだろう。
死んだ後のことだが、知り合いの住職がいるから、そこで葬儀をお願いしてくれ。
場所はここ。生前の戒名も既に貰ってある。
お墓は、地方の実家の墓に入れてほしいと兄に言ってある。
兄に頼んで、そこに納骨してくれ。
そして俺が死んでも気にするな。いい人を見つけて幸せに暮らせ。」
男性はガンにかかり長らく闘病生活を続けていました。
余生を妻と心穏やかに過ごすも、50代で他界。
ノートに書き残すことはしていなかったものの、彼なりに終活をすすめて、
妻に迷惑が掛からないように準備をしてきました。
男性の言った通りに、生前にお世話になっていたお寺で葬儀をあげ、
その後、男性の兄に、実家のお墓へ納骨させてもらうよう依頼しました。
しかし、結局男性は実家のお墓には入れなかったのです。
理由は、実家のお墓の名義人である兄と、お墓を管理しているお寺が
OKを出さなかったからです。
そもそも、お墓に納骨できるかどうかの判断ですが、
- お墓の名義人(親族など)
- 墓所の管理人(霊園管理者やお寺の住職など)
この2人が、「入ってもいいよ!」と言ってくれれば、お墓に入れます。
名字が違うけれど入れるか?というご心配も、この2人がOKといえば
名字が違う場合でも入ることができます。
逆に血が濃くても名義人が「一緒に入りたくない!」といえば一緒に入れません。
で、この男性の場合ですが。
お墓の名義人とお墓の管理人両方からのNGでした。
まずお兄さんが断った理由は、単に一緒に弟とお墓に入りたくなかったのでしょう。
そしてお墓の管理人であるお寺が断った理由はですね。
うちで葬儀をあげてないし、
既に他宗派の戒名がついているから
です。
他宗派の戒名がついてしまっている仏様は、その実家のお寺の墓地には納骨できないということでした。
これはお寺によって様々で、すべてのお寺がそういうわけでもないようですが、
このようなトラブルは多いようです。
菩提寺(代々お付き合いがあるお寺)にお墓があるかたは、親族が亡くなったら必ず菩提寺に報告して葬儀をあげたほうがいいですね。
そうでないと、葬儀のやり直しを求められたり、お墓の納骨を拒まれることもありますので。
あとは最近トラブルが増えているのは、菩提寺に了承無く、一日葬や直葬で葬儀をおこなうことにしてしまうことです。
お通夜をすっ飛ばして葬儀・告別式をおこなったり、
火葬式のみにしてしまうケースは近年依頼も多いですが、
仏事の観点からすればそれはイレギュラーな事なので、
菩提寺があるかたは独断で決めないほうが後々トラブルにならずに済むと思います。