墓じまい解説【1】始める前に知っておくべきこと
最近よく聞く「墓じまい」という言葉。
近年はこの問い合わせが非常に多いです。
墓じまいとは何か?基礎知識、墓じまいの流れ、実践編、気をつけるべき事を書きたいと思います。
ここではまず基礎知識としての説明になります。
※基礎はすっ飛ばして、墓じまいの流れについて進みたい方はコチラ
墓じまいとは?
墓じまいとは、簡単にいうと今あるお墓を処分して、遺骨を別の場所に移すことです。
近年では墓じまいに関する需要が増えているなと感じます。
理由として
- お墓が遠方にあってお参りできない
- お墓を継ぐ人がいない、または継ぐ人に負担をかけたくない
- お墓が2つ以上あるから、1つにまとめたい
などのさまざまな理由があります。
なぜ墓じまいが増えているの?
墓じまいが増えている理由としては、お墓を引き続き管理・維持していく事が困難になる人が増えているからですね。
従来のお墓は、先祖代々のお墓を家族が管理・維持し、継いで守っていく必要がありますが、現代ではそれが難しくなってきています。
管理・維持していく事が困難な理由として多いのが次の2つ。
- 後継ぎがいない
少子化により子どもや孫がいなかったり、女の子で嫁いでいったりなど、お墓の承継者がいないことも多くなりました。
- お墓が遠方である
地方の人口減少も加速し、故郷から離れて生活をする人が多くなったため、遠くのお墓を定期的に管理することが難しくなってきました。
その他、複数あるお墓を1つにまとめたい…などが挙げられます。
そういった悩みをもつ人たちは、従来のお墓を処分して、
家族が管理しなくても済む場所に遺骨を移動させる一連の手続きを墓じまいと呼んでいます。
「今後お墓を持たなくていいんだー♪」とは限らない
墓じまいというと、「じゃあ今後お墓を持たなくていいんだ!」というイメージを持つ人もいるかもしれませんが、そうじゃあないんです。
遺骨を捨てるわけにはいかないですからね…。
墓じまいした後の遺骨の移動場所は予め決めておかなくてはいけないです。
遺骨の移動場所の選択肢として、
- 永代供養墓を購入し納骨する
- 山や海へ散骨する
- 手元供養(自宅保管)する
などがあります。
その中で、墓じまいをした場合の遺骨の移動先は、
永代供養墓を購入して納骨する が一番多いという調査結果があります。
お墓を持たずに墓じまいをする方法もあります。
これについてはまた詳細を書きたいと思います。
「墓じまい」と「お墓の引越し」の違い
先述では、墓じまいしても遺骨の移動場所は決めておかなくてはいけないと書きました。
え!じゃあ、お墓の引越しと同じでしょ!どう違うの?
という疑問を持たれるかたもいます。実際よく聞かれました。
※「墓じまい」の言葉と引き合いに出されるものとして「お墓の引越し」があります。お墓の引越しも、今あるお墓を撤去して別のお墓へ移ることを指します。
墓じまいとお墓の引越しの違いについてですが、明確に決まった言葉の定義の違いはありません。
使い分けをするとしたら、
お墓の引っ越し・・・家からお墓が遠いので、近くのお墓に移す
墓じまい・・・お墓を継ぐ人がいないから処分する
つまり、今後もお墓の継承者がいるのかいないのかで言葉を使い分けることが多いです。
お墓の引越しと墓じまいは、一連の手続きの流れはほぼ同じなんです。
そして、墓じまいはお墓の引越しの流れの一部分である、と考えてもらって差し支えないんじゃないかなと。
お寺の壇家から墓じまいを考えている人
現在お寺の境内にお墓があって、檀家になっている人は、墓じまいの手続きを始める前にやるべきことがあります。
お寺のご住職にはご相談という形でもいいので、「ゆくゆくは~」と墓じまいを考えている旨を事前にお伝えしておいてください。
お寺が先祖の供養をしているのは何も法事のときだけではなく、毎日読経したりなどお勤めをされています。
寝耳に水の如く「墓じまいすることに決めました!来月退去しますんで」とは言っても、ご住職も人ですから、あまり良い気分にはならないですよね。
離壇にあたり高額な料金を請求される場合もあるようです。(そう多くはないですがね)
また後述しますが、墓じまいには現在の墓地の管理者から書類をいただく必要がありますので、滞りなく進めるためにも良い関係性を維持したいところです。
ここはしっかり事前に準備する必要があります。
以上を踏まえて、納得のいく墓じまいを進めていってもらいたいと思います。